JOURNAL

【Artist Atelier Visit】Akari Karugane (pottey) × Kaori Oishi(scent)

« Mélange(メランジュ) » プロジェクト

アーティストの方々との対話を通して、新しい作品を生み出すプロジェクト。
異なる感性や才能、素材や技術、人と人が交差したとき。何かが溶け合い、強く光るその瞬間を発見したとき。
私たちはまだ見ぬその美しさを見てみたくて、混ざり合った美しいもの « Mélange(メランジュ) » と名付けました。
私たちが旅を通して出会ったアーティストの方同士の感性が交わった先には一体どんな世界が見えるのだろう。
そんな好奇心を辿って、一緒にその世界を見てみたいと思います。

第一弾 – Candle pot - Akari Karugane (pottey)×Kaori Oishi(scent)

セントデザイナー/パフュームカウンセラーの大石香織さんと陶芸家の故金あかりさんとの対話によってできた、唯一無二のキャンドルポット。その誕生の背景を伺いました。
故金あかりさんのインタビューはこちら
大石香織さんのインタビューはこちら

土の温かさや大らかさ、そして繊細な表情が魅力の故金さんの作品。そしてパリでブランドのイメージフレグランス等も手がけられていた大石さんの、心地よく情緒のある香りが出会ったら、きっと素敵なものに違いない。私たちは確信してお二人に今回のキャンドルポットの制作をお願いをすることにしました。ミーティングを重ね、大石さんは故金さんの作品からのインスピレーションを膨らませながら自身の作りたかった香りである木のイメージを、故金さんは大石さんから香りを受けて、キャンドルを受け止める壺を制作し、キャンドルポットが生まれました。

Candle potが生まれるまで

Akari (以下A) 最初に今回のキャンドルの香りの主軸となる香料サンプルを届けてもらって、いろんなイメージが沸きました。自分が個人的に行った場所や会った人を思い出したり、色が思い浮かんだり。嗅いだ人によってそれぞれ感じることも異なるかもしれない。どんどん自分の中でイメージする要素が増えていったのですが、香りそのものがキャンドルとしての魅力をすでにまとっていると気がつきました。そこで、今回は香織さんの香りに寄り添って制作したいと思いました。そこで、香りをあまり邪魔せずまとまったらいいなと一度シンプルにしようと考え直し、色など余計な要素を削ぎ落としていきました。

Kaori (以下K) 実は私も、まるで同じことを考えていました。故金さんが今まで作られてきた作品を見て、すでに完成形だと思ったんです。丸っこくて可愛らしいのに、野生的で原始的で・・・どこから来たのか?どの時代のものなのか?もしかしたら隕石かもしれない?と想像を掻き立てる故金さんの作品。そこから香りが漂ってきたときに不自然じゃないものがいいなと思いました。逆に、キャンドルにする意味があるのかしら・・・という不安もありました。

mont et plume(以下mp)  お互い、同じことを思っていらっしゃったのですね。

K) 一方で、自分が最初に作りたいと思っていたのは、ウッディノートを中心に組んだ、森の中を歩いているようなイメージの香りです。故金さんの作品の自然な感じ、木肌にも見えるような色合いを見て、私が作りたい香りと同じ方向性でいいんだなとも直感しました。

mp) 出来上がってきたキャンドルポットを見て、器と香りのあまりに美しいマッチに感激しました。故金さんの壺の中に、香織さんの小さな森が詰まっているのかなって。

K) 故金さんの器は、実際手に取ると写真を見て受けたイメージよりもずっしりと重くて、手触りは想像通りごつごつしていて、とてもいいなあと。火を灯してみると、マグマや洞窟みたいで、原始的な存在感で。この壺の中から光が生まれているというのがすごく素敵で、このキャンドルを作ってよかったなと思いました。

mp) 確かに故金さんの作品は、時代や場所を超えて、普遍的でプリミティブな良さを感じます。その作品から香織さんの自然で洗練された香りが放たれることで、お互いの作品の味わいがより引き出されたような気がしました。お二人が同じ思いで歩み寄られたという、お互いへのリスペクトがすごくいいかたちで作品に表れているようです。

心地よさについて

mp) お二人にそれぞれお話を伺った際、大切にされていることのひとつに「心地よさ」というキーワードがありました。使う人にとって、作る方法や材料の背景への配慮、などどんなことを考えていらっしゃるか教えていただけますか?

A) 私の場合は、たとえば手触りの心地よさを大切にしたいと思っています。焼いてすぐの段階では表面がガサガサしているので、撫でたくなるような、スムーズな感じになるよう目指しました。

mp) 土らしいごつごつした存在感がありつつも、触れてみると丸みがあって、長く使ってきたかのような心地よさを感じます。

K) 段は合成香料と天然香料の両方を使い色んな香りを作りますが、キャンドルに関して天然香料を使っております個人的にキャンドルを灯すのは一息ついてリラックスしたい時。合成香料使用のキャンドルと比べるとはっきりとは香りませんが、香り立ちが柔らかくふんわりと包み込まれている感じが心地いいなと思います。

mp) 自然で柔らかい香りがしました。深呼吸したくなるような香りは、天然ならではの香り立ちだったのですね。

mp) お二人とも、生産の背景でも心地よさについて考えていらっしゃいましたね。故金さんの場合は、制作の過程でも心地よさを大切にされていました。

A) はい、例えば作品を制作する過程で土を削るので土の屑がたくさん出てしまいます。これを捨てずに集めて、私はいろんな種類の土を混ぜて再生させています。普通は同じ土の種類を集めるのですが、異なる土の種類を混ぜて削ると、断面から違う色が出てきて楽しいんです。別に特別なことと思ってやっているわけではなく、無駄を出さないことが心地よく自然なので、やっているのですが。

mp) テラゾみたいで、可愛いですね!新しい作品に生まれ変わっている。

(色々な種類の土が混ざって再生される)

K) 私の場合は、天然香料の無駄遣いをしたくないという思いがあります。天然香料は、植物からその抽出物をいただいているので、大量の植物からほんの数滴しか取れないこともあります。合成香料も天然香料もそれぞれ得手不得手があり、今回のキャンドルのように天然香料からしか得られないエフェクトというのはもちろんあるので使用しますが「いただきます」という気持ちでなるべく無駄の出ないよう大事に使います。そしてフェアトレードなど、できるだけ香料植物が作られる背景もしっかりしているものを選ぶようにしています。

mp) 製品になってしまうと使う側はその背景を知ることができないので、そうやって選ばれた原料を使われていると安心ですね。
今回 “Mélange”プロジェクトの作品第一弾として実現した、二人のアーティストによるCandle pot。想像を超えて素敵な存在感と香りに出来上がってきて、感激しています!早くお披露目したいとワクワクしています。

 

Candle pot – message from artists –

Pot / Made by Akari Karugane
木の香りを受け、香りに包み込まれる空間を想像してキャンドル用に壺形の器を制作しました。
耐熱性の陶土で形作り、化粧土で加飾しています。
器が香りに寄り添い、心地よい空間になれば幸いです。

Akari Karugane
陶芸家
武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科陶磁器専攻卒業。現在、多治見市陶磁器意匠研究所在籍。
土の温かさや大らかさ、そして繊細な表情が自分を通して表現できたらという思いで、壺や器、土鍋を制作。

Woody Fragrance WMCandle Made by Kaori Oishi
大豆由来のロウと天然香料のみを使用したハンドメイドのフレグランスキャンドルです。
Woody Fragranceは、ウッディノートと分類される香料を軸においた香りのコレクションです。WMは、ひっそりと湿り気のある森に足を踏み入れたときの雰囲気を思い浮かべながら調香しました。
100%天然香料を使用しております。ふんわりと優しく包み込まれるような感覚、そして使い始めから徐々に香りが変化していくところは天然香料ならではのものです。

Kaori Oishi
セントデザイナー/パフュームカウンセラー
東京外国語大学卒業。調香技術を学び渡仏。フレデリック・マルのパリ本店でカウンセラーとして勤務しながら、CristaSeyaのフレグランスキャンドルやPheetaのイメージフレグランス等オリジナルのにおいの調香、また香りに関するコラムを執筆。現在、東京にて活動。

聞き手:mont et plume
Writing : Sayaka Yamamoto
Photo : Yusuke Abe (1・2・3・6枚目),  mont et plume ( 4・5枚目)