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mont et plume (以下mp):打田さんが考える「美しいもの」を伺いたいです。石が好きと仰っていましたが・・(アトリエに並べられた、美しい石のコレクションを見せていただく)
Midori Uchida(以下M) : はい。石が好きで、海に行くとすこしずつ気にいったものを集めています。石を探すときは、自分がぴんとくるものを厳選します。できるだけ無闇に持って帰らないようにしているんです。大事にできないと悪いので・・。夫も拾っているけど、見てみるとお互い違うものを選んでいて、面白いんですよね。
mp:打田さんが「ぴんとくる」のはどんなものですか?
M:軽いカサっとした石よりは、ずしっとして硬そうで、重いものが好きです。おそらく質感や存在感みたいなものを見ていて、多分この感覚は自分の作品においても大事にしたいものなんだろうなと思います。鉱物を探すときも、ずしっときて「触っているな」という重みの、水晶のように透明度のあるものに惹かれます。この卵形のシトリンは特にお気に入りです。丸い曲線、クリアな質感が好きです。
mp:なるほど。打田さんが何を美しいと思っていらっしゃるのかよくわかるエピソードです。打田さんの作品にも共通点がありますね。
mp:作品を作るときは、何か考えて作っていらっしゃいますか?
M:無心です。・・・そういえば小学校の時に、泥団子を作るのが好きでした。休み時間ごとに走っていって、かがんで無心で泥団子を作っていた。それは結構、今作品を作っている時の感覚に近いかもしれません。
mp: このスケッチブックは・・?(アトリエに置いてあるスケッチブックを発見)
M:ああ、スケッチしてイメージを考えているんです。(スケッチブックいっぱいのデザイン画を見せていただく)メモとか、色々描いています。昔の方がもっといっぱい描いていましたが・・。
mp:かなりたくさんスケッチされていますね。試行錯誤されて一つの作品ができるのですね・・!
M:形に関しては描いて、いいなと思ったものを作ります。手捻りで時間がかかるので、ある程度最初に形が見えるほうがいいんです。結構前のものを見返して、昔は何を考えてたのかな、と思い出すこともあります。
mp:打田さんは15 年ほど美濃で暮らされています。魅力を教えてください。
M:陶芸をやるにはいい土地ですね。自分自身が完全に作家としてやっていけるかわかるまでの曖昧な時期に周りに何でも聞ける人がいたりすることは心強いと思います。産地なので、土を買うにも釉薬を選ぶにも専門家が集まっていて、ちょっとした話が聞けたり。地域によっては閉鎖的なところもあると聞きますが、美濃の人はみんないい人でした。
mp:打田さんとうつわのお話を聞かせてください。自分の作品をどういう風に使われていますか?
M:実は自分の手元に置いているのは、そんなに多くありません。数をたくさん作れないので、人に見せたくなってしまうんですよね。人のうつわを使うのも好きで、使いながら勉強しています。(お庭でお茶を出してくださった際に、打田さんのうつわとご友人の作家さんのうつわを使わせていただきました)
mp:今回 アトリエにお邪魔して、同じく陶芸家の旦那様とお子様との三人の温かい生活が感じられたのが印象的でした。お子様が産まれて、ご自身の創作に変化はありましたか?
M: それが、変わるかなと期待していたけど、全然変わらなかったんです(笑)。でも、日々生活の幸せを味わえるようになりました。子供といて、幸せな気持ちが、どわ~っと溢れる時があります。こんな気持ちになるんだなって。あとは、制作の源のような部分は全然変わらなかったけど、時間の使い方は変わりました。時間が限られているので、毎日毎日コツコツと制作に向かうようになりました。そこは生まれ変わった感じです。
前回の記事はこちら→ 【Interview】Midori Uchida Vol.1 陶芸家・打田翠さん 前編
打田 翠 / 陶芸家
Midori Uchida / potter
1983 神戸生まれ
2005 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース卒業
2007 多治見市陶磁器意匠研究所修了
岐阜県瑞浪市にて制作